先輩から逃げる方法を探しています。


会ってまだ数分だが気づいたことがある。

どうも私はこの人が苦手だ。

これ以上関わるとろくなことがないだろう。

鞄を手に持ち、黙って立ち去ろうとすると、それに気づいた男子は声を掛けてきた。


「あれ?帰っちゃうの?」


そう問いかけてくる男子の顔を見ると、やはり口元や頬の傷に目がいく。

…どうしてこんなに怪我をしているんだこの人は。

溜め息を吐きつつ鞄を漁り、手にした物を男子に差し出した。


「え?何これ~?」

「絆創膏です。それでは」


男子に絆創膏を渡し、私はそのまま家へと帰った。


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