先輩から逃げる方法を探しています。


今から新しく部活を立ち上げるということは、入ったとして部員が私と先輩しかいないということだ。

こんな最悪すぎる状況を容認できるはずがない。


「先輩と2人きりで部活なんて絶対嫌です。無理です」

「あら?2人きりじゃないわよ。もう1人いるの」

「え?」

「その子もね松木くんよりは全然大丈夫なんだけど、ちょーっとだけ危うくて…だから部活に入ってもらうことにしたのよ」

「そう…なんですか」

「それに部活は3人以上じゃないと作れないのよ」


部活は3人以上じゃないと作れないのは知らなかった。

なにより先輩と2人きりじゃなくて安心した。

そのもう1人という人は先輩とは違い、不良でもなんでもない。

ただとある事情があり、あまり学校に来ることが出来ていないらしい。


「学生らしいことってもう大人になったら出来ないじゃない?だから部活をして少しでも楽しんでもらいたいのよ」


少し悲しげな表情で話す先生。

その人はもしかして病気とかであまり学校に来ることが出来ていない…とかだったりするのだろうか。


「……わかりました。入ってもいいですよ」

「えっ本当!?伊坂さんありがとうー!!大好きー!!」


先生のためでも先輩のためでもなく、その人のために。

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