先輩から逃げる方法を探しています。
私も話していた先輩達も先生に注目する。
すると、先生は「じゃじゃーんっ!」と、背中の後ろに隠していた左手を前に出した。
左手には1枚のチラシが握られている。
「しゅがーちゃん、何それ~?」
「よくぞ聞いてくれました!天文部は7月7日に一泊二日で天体観測合宿を行いまーす!のチラシ」
7月7日は金曜日。
放課後に先生の持ってきたチラシに載っているキャンプ場へと行き、天体観測をするらしい。
設立してようやく天文部らしい活動だ。
「とりあえず都合は置いといて行くか、行かないかは多数決で決めましょう」
天体観測合宿か…正直、私はどちらでもいい。
先輩は「めんどくさ~い」と言っておそらくやりたがらないだろう。
最近様子が変で、毎日部活動に来ているとはいえ、学校の行事でもある体育祭に…しかも一種目だけに出ることすら嫌がったのだから。
ということはもし雨谷先輩が「行きたい」と言えば、あとは私次第ということになる。
本当にどっちでもいいから困るな、それは。
「じゃあ、行きたい人は挙手ー」
「はーい。俺は行きたい」
予想通り、手を挙げたのは雨谷先輩だけである。