先輩から逃げる方法を探しています。


雨谷先輩は私と先輩が手を挙げていないことに気づき、寂しそうな顔をした。


「えー…2人とも行かないのか?」


さて、どちらにしよう。

7月7日は七夕。

そんな日に天体観測をするのは魅力的……でも、一泊二日というところが引っ掛かる。

学校じゃないから目立つかどうかは関係ないんだけど、先輩とは体育祭の日の件があるから…少し一緒に居づらい気もする。


「耀ちんはそんなに行きたいの?」

「そりゃあな。七夕に天体観測するってなんか良くないか?」

「んー……天体観測ねぇ。ちょーっと面倒だなぁ…」


先輩は特に天体観測には興味ないらしい。

最近変わっているとは思っていたが、勘違いだったか。

こういう行事ごとは面倒のようだ。


「そんなこというなよ、はる。ほら、思い出にもなるだろ?はるや翼や佐藤先生と一緒に合宿なんて俺は楽しみなんだけど」

「……じゃ、俺も~」


軽く手を挙げる先輩。

……え、嘘。

数秒前まで天体観測に興味なさそうだった上に「面倒だ」なんて言ってなかった?


「ということは行くってことになるけど、いいかしら?伊坂さん」

「えっ…えぇ、はい…」

「やった!それじゃ、佐藤先生。俺はマネージャーに空いてるか聞いてみますね」

「よろしくね。もし行けそうにない時はまた別の日に変更しましょう。松木くんと伊坂さんも都合が良いか確認しておいてね」

「はいはーい」

「わかりました」


結局、私が選ぶことなく合宿に行くことが決まってしまった。


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