先輩から逃げる方法を探しています。
耀ちんと仲良くなるのにはそう時間はかからなかった。
気が合うし、なにより話していて楽しい。
一見、俺とは正反対だと思えるが、似たようなところのほうが多かったりする。
「お。お疲れ、はる」
「耀ちん、早いね。来るの」
「短いけど仕事入ってたから午後は学校休みにしてたんだ。で、さっき仕事終わって部活に来たわけ」
「なるほどねぇ。お疲れ様」
家でテレビを見ることはないから、携帯の動画で耀ちんの出ている番組やドラマを何度か見た。
他にも雑誌だったり、本業のアイドル活動でのライブだったり…
忙しいだろうに時間があれば学校や部活に来る。
その点だけは俺とは正反対。絶対俺は面倒でやってられなくなるだろうから。
「そういえばさ、はると翼って昔から仲良しなのか?」
「いや、初めて会ってから1、2ヶ月ぐらいしか経ってないよ」
「えっ。まじで?」
「うん。それに仲良しって程でもないかなぁ。俺は仲良しになりたいんだけどねぇ」
「そうなのか」
「急にどうしたの?」
「実はさ…」
どうやら耀ちんは翼ちゃんとどう接していいのか少し戸惑っているらしい。
もしも、困らせてしまったり、嫌なことを言ってしまった時、翼ちゃんの顔を見てもわからないからだ。
それが心配で上手く話すことが出来ていない、と。