先輩から逃げる方法を探しています。


そして、部活が作られて3週間程経ち、天文部らしい活動は特にないまま夏休みに入ろうとしていた。

昨日、しゅがーちゃんが1枚のチラシを持ってくるまでは…。

それは『星降る七夕の夜に素敵な思い出を』というキャッチフレーズが書かれてあるキャンプ場のチラシだった。

夏休み前に天体観測の合宿をしたいらしい。

多数決で決めることとなり、俺は興味もなく、面倒だったが耀ちんが行きたいというから…

いや、「はるや翼や佐藤先生と一緒に合宿なんて俺は楽しみなんだけど」なんて言うから俺も行きたくなったのが本音だ。

とまぁ、俺と耀ちんの2人が行くと言ったために、合宿は決定。

そして今日、合宿に行く前の準備などについて話し合うこととなり、部室に来ていた。

うつ伏せていると、ドアの開く音がして顔を上げる。


「ん~…翼ちゃんか。やっほー」

「お疲れ様です」


いつもは翼ちゃんより先に耀ちんが来るのだが、珍しく翼ちゃんのほうが先だ。


「耀ちん遅いねぇ」

「そうですね…?」

「早く来ないかなー」


翼ちゃんは向かい側の隅の椅子に座る。

今日も教科書とノートを取り出し、勉強を始めるのかと思いきや、何も始めない。

俺の方を見ると、珍しく翼ちゃんから話しかけてきた。


「先輩、子猫のところには最近行っているんですか?」

「休み時間とか部活が始まる前とか終わった後に行ってるよ~。まぁ、たまにあいつがいない時があるけど」

「…そうなんですか」

「うん。それがどうかした?」

「いえ」


なるほど。あの猫のことが心配だったのか。




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