先輩から逃げる方法を探しています。
暫く後をつけていると、皆で天体観測をした広場へと着いた。
立ち止まり、空を見上げる翼ちゃん。
こんな時間に誰かと待ち合わせってことはないだろうし…。
完全に警戒もしていなく、無防備な状態だ。
「っ…………んんんーっ……!!!」
そっと近づき、背後から確保。
最初は抵抗しているのか、少しだけ動いていたが、それはおさまり、全く動かなくなってしまった。
「ちょっと翼ちゃ~ん?固まっちゃ駄目でしょ。逃げようとしなきゃ」
手を離して解放すると、ゆっくりと振り返る。
「こんな時間に1人で出て行ったからお仕置きがてらちょーっと悪戯してみたけど、これじゃもっとしなきゃかな~?」
「……せん…ぱい…」
どうやら俺だったことに驚いている様子。
「とにかく、こんな夜遅くに黙って女の子1人で外に出て行くなんて駄目だよ。もし今のが俺じゃなかった…ら……」
服をぎゅっと握り、足は一歩後ろに下がっている。
ちょっと怖がらせすぎてしまったみたいだ。
「もしかして結構怖かった?ごめんね」
「え…」
「でもさ、本当に駄目だよ。夜中に1人で出歩くなんて」
翼ちゃんは黙ったまま、ただ頷いた。