先輩から逃げる方法を探しています。


話によると、星空の写真を撮りに来たらしい。

1人で行かずに俺を電話で呼び出してくれれば良かったのに、なんて思うけど…

俺を呼ぶくらいだったら耀ちんのほうを呼ぶよなぁ。

それにしても今驚いていることが1つある。

それはさっきは怖がっていたものの、今は落ち着いている状態なのに何も俺に言ってこないことだ。

絶対怒ると思ったのだが、何も言われない。

しかもいつもなら「一緒にいる」と言えば、「早く先輩は帰って寝てください」なんて言うだろうに、それについても何も言わない。

お昼は無視したり冷たかったりしたくせに、今はこれだもんなぁ…。

ほんと翼ちゃんってよくわからない。


「ねぇ、翼ちゃん。寝転がって撮ったほうが綺麗に撮れるかも」


先程から一生懸命に上を向いて写真を撮っている。

振り返って俺のいる場所を確認すると、離れた場所へと歩いていく。

次は避けるのか…。

寝転がったまま、翼ちゃん方へと近づく。


「なんで離れようとするかなぁ。俺の腕が届かないじゃん」

「先輩の腕?」

「直接地面に頭を置くのは痛いだろうから俺の腕を使って」

「結構です。別に痛くても構いません」

「俺が構うから駄目」

「構わなくていいですって」


これは頷いてはくれなさそうだ。


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