Youth...★
見失わないように、陸上選手もびっくりなスタートダッシュをきる。
いつもなら目に入る女子達の姿も、今はもう視界にさえ入らない。見えるのはただ一つ。
目標に向かって走り、途中誰かにぶつかって何か言われた様な気もするけどそんなもの今の俺には関係ねぇ!!
だんだん、近くなる距離。聞こえてくる会話。
「スカートめくるなんて最低っ!!」
「お前クマさんぱんつかよ!」
スカートをめくられた女子が顔を真っ赤にして一生懸命抗議していた。
俺はちょっとずつスピードを落とすと、少しだけ離れたところで立ち止まった。
「やめてよ!あんた達そんな子供みたいなことして恥ずかしくないの!?」
湯気でも出るんじゃないか?それ程の怒りっぷり。拳を握り締めて、その手はぷるぷると怒りで震えている。
「ぷっぷー!恥ずかしくなんかねーよーうだ!」
と、3人の中のひとりが変顔をしながらそう答えた。
それに続くように、もう一人が「だってさー、」言う。
「俺たちまだまだ子どもだからねぇええ!!」
そして、最後のひとりが満面の笑を浮かべながら言い切った。
それを聞いた俺は、大袈裟だと笑われるかもしれないけど、全身の鳥肌が止まらなかった。
な、なんなんだこいつら。
「......か、かっちょいい!!!!」
なんて堂々たる態度!!!悪びれる様子なんて全くない!!まるでスカートをめくるのが正義と言わんばかりの自信満々さだ。
かっこよすぎだろ!!
ふと気がつくと、さっきまで言い合っていた声は止み、睨み合っていた視線達は俺に注がれていた。
あ、やべ。声出てたのか。
女子は怪訝そうに俺を凝視し、男達はニヤニヤしながら俺を見ていた。
「......かっけえっす!!!」
沈黙が耐えれなくて、もう一度言ってみる。
すれば、さっきまでそこの3人に浴びせていた怒声が今度は俺に向けられた。
「はっ、はあ?!かっこいい?!なにが!!どこが!!あんたバカなんじゃないの!!?」
え、めっちゃ怒るじゃん。なにこいつ。頭おかしいの?
「....ふっ。お前見る目あるな」
と、3人のうちのひとりが前髪をかきあげながら言い、近付いてきたかと思えば俺の肩に手を置いた。
え、鼻水すげえ垂れてるし、よく見たらかきあげる程の前髪もない。なんだこいつ。かっこいいけどダサい。
「俺の名前は吉田 仁。お前俺達の仲間になるか!?」
そいつは、俺にそう言った。