契約書は婚姻届
「えっと……」

なんだが、大変なことになってきたと思う。

車は申し訳ないが用意してもらおうとは思っていたが、運転手とか秘書とか。

朋香ひとりが里帰りしたりするだけで必要なんだろうか。

「その、運転はできますので、車だけ用意していただいたいたら」

「それじゃあ、支払いが困るだろ。
朋香にはお金を気にしないでなんでも買ってもらいたいし」

「は?」

待て待て待て。
よく考えろ。

これは、お財布はその、秘書なり執事なりが持つから、値段は気にしないでバンバン買い物していいということですか?

それはそれで、……困る。

尚一郎との経済観念の違いに、朋香は軽く頭痛がしてきた。

「あの。
たまには息抜きに、ひとりで出かけたいんです。
秘書とか運転手とかつけないで。
……ダメ、ですか?」
< 105 / 541 >

この作品をシェア

pagetop