契約書は婚姻届
第7話 雪が溶けるときっと花が咲く
……はぁーっ、家に帰り、ばたんとベッドに寝ころぶとため息が出た。

……私はいったい、どうしたいんだろう。

自分でもわからない、雪也とよりを戻したいのか、このまま尚一郎と結婚生活を続けたいのか。

 
結局、雪也にホテルに誘われたものの、断ってそのまま帰った。

次に会うときにちゃんと返事はする、そう約束はしたものの、そもそもそんな約束をしてよかったのかすらわからない。

それに、ホテルの誘いを断ったからといっても、雪也とキスをしたことは事実。

いままでは友達と会っているだけだと自分に云い訳ができていたが、もうそれもできない。

「もし、尚一郎さんと別れたら、お父さんの工場はどうなっちゃうんだろう……」

雪也は裕福な暮らしは約束すると云っていたが、そんなことはどうでもいい。
生活に困らないほどの稼ぎがあれば問題ないし、自分だってそうなればまた、働きに出る覚悟はある。
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