契約書は婚姻届
第10話 私の帰る場所
目覚めるとまだ夜明け前でため息が出そうになる。
ベッドに入ってもなんとなく落ち着かず、ぐっすり眠れなかった。
つい隣に……尚一郎を探してしまう。
なにも当たらず空振りした手に、何度目覚めたことだろう。
もう少し眠れないかと目を閉じてみる。
けれど結局眠れないまま起き出すと、台所で明夫が朝食を作っていた。
「眠れたか」
「あ、……うん」
なんとなく誤魔化すと、苦笑いで明夫は再び鍋に向かった。
自分の家のはずなのに、どことなく落ち着かない。
そういえば、明夫が料理をしているところなど、はじめて見る気がする。
「そのうちおまえはいなくなるんだとは思っていたが、まさかあんなに急だとは思ってもなかった。
工場の奥さん連中や、尚一郎君が寄越してくれた家政婦さんがいなかったら、酷い暮らしをしていただろうな」
「……うん」
ベッドに入ってもなんとなく落ち着かず、ぐっすり眠れなかった。
つい隣に……尚一郎を探してしまう。
なにも当たらず空振りした手に、何度目覚めたことだろう。
もう少し眠れないかと目を閉じてみる。
けれど結局眠れないまま起き出すと、台所で明夫が朝食を作っていた。
「眠れたか」
「あ、……うん」
なんとなく誤魔化すと、苦笑いで明夫は再び鍋に向かった。
自分の家のはずなのに、どことなく落ち着かない。
そういえば、明夫が料理をしているところなど、はじめて見る気がする。
「そのうちおまえはいなくなるんだとは思っていたが、まさかあんなに急だとは思ってもなかった。
工場の奥さん連中や、尚一郎君が寄越してくれた家政婦さんがいなかったら、酷い暮らしをしていただろうな」
「……うん」