契約書は婚姻届
「……美味しい」

「そうか」

味噌汁を飲むと、久しぶりの和食の朝食だからか身体にしみた。

 
食事がすむと、明夫も洋太も仕事に出かけていった。

ひとり取り残されてどうしていいのかわからない。
自分の部屋のベッドに寝ころぶと、妙に狭く感じる。
前はそんなふうに感じたことはなかった。
いつの間にか、尚一郎の屋敷での生活が、当たり前になっていた。

……私も云い過ぎだったよね。

一晩たつと、だいぶ冷静になった。

昨日はあたまに血が昇ってかっかしてたから、尚一郎が侑岐にまとわりつかれてでれでれしているように見えていたが、よく思い起こすとあきらかに尚一郎は困惑していた。
もしかしたらなにか事情があって、あまり強く云えないのかもしれない。
 
それに。
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