契約書は婚姻届
尚一郎がハーフに生まれたことも、この容姿だって、尚一郎に責任があるわけじゃない。

「でも」

「よくあることだから」

静かに笑う尚一郎に朋香は複雑な思いだった。



「じゃあ、私、行くね。
たまには帰……れると思うから」

部屋の外から声をかけても、洋太は出てこない。
はぁっ、ため息をついて背を向けるとドアが開いた。

「これ」

洋太が手だけをドアから出す。
そこにはなにか握られており、受け取ると健康祈願のお守りだった。

「どれがいいのかわからなかったから。
とりあえず、病気も怪我もないのが一番だと思って」

「洋太……」
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