契約書は婚姻届
意外だった、すぐにでも関係を迫ってくるものだと思ったから。
それとも、尚一郎にとってもこれはただの契約結婚で、私に興味がないとか?

一瞬、そんなことを考えた朋香だったが、今日の尚一郎の態度からいって、そんなことはなさそうな気がする。

「これからのことは明日、ゆっくり話そう。
じゃあお休み、Mein Schatz」

抱き寄せられたかと思ったら、一瞬だけ軽く唇がふれた。
立ち尽くしている朋香を残してドアが閉まる。

……これから私、どうなっちゃうんだろ。

ベッドにばふんと寝ころぶと、思いの外ふかふかだった。
気持ちよくて、めまぐるしい二日間を過ごしたせいか眠気が襲ってくる。

……お風呂、もう明日でいいか。

こうして朋香の結婚一日目は終わっていった。
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