契約書は婚姻届
「えっ……。
はい」

「よかった」

涙の光る目で無邪気に笑う万理奈に、すべてを悟った。

尚一郎は達之助の意に反し、万理奈と付き合ったために制裁を受けた。

万理奈は……ずっと自分が尚一郎を不幸にしたと思っていたのではないだろうか。

だから自分から遠ざけ、尚一郎の幸せを願った。

「ええ、尚一郎さんは幸せですよ。
絶対に絶対に、私が幸せにして……みせます……から」

「……?」

涙で濡れる朋香の頬に不思議そうにふれる万理奈に、力強く頷いた。

「私が絶対に幸せにします。
……だってそう、誓ったんだから」

結婚式の時に誓ったのだ、どんな困難だって打ち勝って、一生、尚一郎と一緒にいて絶対にひとりにしないと。
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