契約書は婚姻届
震える朋香の声に会わせて丸尾が置いた書類に、苦しげに尚一郎の顔が歪む。
目の前に置かれたのは婚姻届だった。
妻の欄にはもちろん、朋香の名前が記載してある。
保証人の欄にも明夫と尚恭のサインがしてあった。
明夫は渋ることなくサインしてくれたし、――尚恭も。
「お義父さんにお願いがあります」
尚恭に面会を申し込むと、あっさり本宅ではなく本邸に通された。
現在、尚恭は主のいなくなった本邸の管理をしているらしい。
「ああ、すみません。
ここも整理しないといけないもので」
本邸はばたばたしていた。
達之助は保釈されたものの、自子共々地方の別邸に引っ込んだらしい。
「尚一郎が跡は継がずに押部の家はこのまま途絶えさせるというものですから」
笑う尚恭はどこか淋しそうで、朋香の胸を波立たせた。
目の前に置かれたのは婚姻届だった。
妻の欄にはもちろん、朋香の名前が記載してある。
保証人の欄にも明夫と尚恭のサインがしてあった。
明夫は渋ることなくサインしてくれたし、――尚恭も。
「お義父さんにお願いがあります」
尚恭に面会を申し込むと、あっさり本宅ではなく本邸に通された。
現在、尚恭は主のいなくなった本邸の管理をしているらしい。
「ああ、すみません。
ここも整理しないといけないもので」
本邸はばたばたしていた。
達之助は保釈されたものの、自子共々地方の別邸に引っ込んだらしい。
「尚一郎が跡は継がずに押部の家はこのまま途絶えさせるというものですから」
笑う尚恭はどこか淋しそうで、朋香の胸を波立たせた。