契約書は婚姻届
「ここにいてくれればいいけど?」

不思議そうに尚一郎の首が傾く。

「朋香は僕に、ただ可愛がられてればいいんだよ」

「は?」

意味がわからない。

そういえば今朝も、
「可愛がられるためだけにいればいい」
とかなんとか云っていた気がする。

困惑していると、尚一郎は朋香の手の掴み、自分の首に回させた。

「このままぎゅっと……」

「首を絞めていいということですか?」

半ば本気で聞くと、一瞬、驚いた顔をした尚一郎だったが、次の瞬間おかしそうにくつくつと笑い出した。

「怖いことを云うね、朋香は。
まあ、朋香に殺されるっていうなら、それはそれである意味本望だけどね」
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