契約書は婚姻届
上目遣いで、怒られたときのロッテと同じ顔で見られると、さすがに言葉に詰まる。

「……き、気に入ったのがあれば」

「よかった」

ぱっと顔を輝かせると、尚一郎はうきうきと残りのパンを食べはじめた。

わんこモードの尚一郎はたちが悪くて困る。


 
朝食が終わるとリビングに移動し、膝の上に載せられて一方的に尚一郎からいちゃいちゃされていると、無表情に野々村がやってきた。
どんな表情をしてこられてもそれはそれで気まずいのだが、無表情なのは怖い。

「本邸から使いでございます。
今日の昼食、一緒にせよとのことです」

「Was!?」

勢いよく立ち上がりそうになった尚一郎に、膝の上の朋香は慌ててしがみついた。
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