契約書は婚姻届
西井が、オシベが契約を打ち切るとの噂を聞いてきた翌日。
朋香と明夫はオシベメディテックの川澄部長を訪ねてきていた。
「今日はお時間をいただき、ありがとうございます」
「いえ。
それで、お話とは?」
ソファーに座り直した明夫の後ろに控え、朋香は黙ってふたりの話を聞いていた。
「それが、その、うちの西井が、あの」
明夫は歯切れ悪く、その、あの、と繰り返しているが、これほど聞きにくいことはないだろう。
出てもない額の汗を拭きながらしどろもどろになっている明夫に対し、その前に座っている川澄はその長い足を組み、年上の明夫を見下すように薄く笑みを浮かべている。
四十二歳で大会社であるオシベメディテックの部長となれば、明夫など吹いて飛ぶ存在かもしれないが、それにしても失礼だと朋香は思っていた。
「うちから卸している、ペースメーカーのネジなんですが、その」
朋香と明夫はオシベメディテックの川澄部長を訪ねてきていた。
「今日はお時間をいただき、ありがとうございます」
「いえ。
それで、お話とは?」
ソファーに座り直した明夫の後ろに控え、朋香は黙ってふたりの話を聞いていた。
「それが、その、うちの西井が、あの」
明夫は歯切れ悪く、その、あの、と繰り返しているが、これほど聞きにくいことはないだろう。
出てもない額の汗を拭きながらしどろもどろになっている明夫に対し、その前に座っている川澄はその長い足を組み、年上の明夫を見下すように薄く笑みを浮かべている。
四十二歳で大会社であるオシベメディテックの部長となれば、明夫など吹いて飛ぶ存在かもしれないが、それにしても失礼だと朋香は思っていた。
「うちから卸している、ペースメーカーのネジなんですが、その」