契約書は婚姻届
「それくらい、なら」

だいたい、一緒のベッドで眠っていいと云うはずだったのだ。
これくらいは容易い。

「よかった。
これで、朝起きて朋香が一番初めに見るのは僕だし、夜、最後に見るのは僕だね」

ちゅっ、頬にふれる唇。

……どうして尚一郎さんはいちいち、恥ずかしいことをしたがるんだろ。

熱くなった顔で黙ってしまった朋香にちゅっ、再び尚一郎が唇を落とした。



「じゃあ、行ってくるよ」

「……いってらっしゃい」

ちゅっ、野々村が見ているというのに尚一郎は口付けしてくる。
朋香としては恥ずかしいのでやめて欲しいのだが、尚一郎はやめるつもりがないらしい。
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