俺様社長にハートを撃ち抜かれました
プルルル…
禅の腕の中で、すっぽり収まっている私の耳に、ケータイの音が聞こえた。
「ぜ、禅…鳴ってるよ…」
しかも、今は結構遅い時間。
仕事の電話なのかな?
だけど、禅は…
「今はいい…」
禅もそう言っていたけど、鳴り止まない電話に痺れを切らして、乱暴に電話に出た。
「なんだ…今かけてくるなよ…!」
(あら、お楽しみ中だったかしら?)
聞こえてきたその声に私は固まった。
お、女の人…
「はぁ?ふざけんなよ…
さっさと要件を言え。」
禅は人前では丁寧な言葉で、王子様みたいな人なのに、電話越しの女の人には普段みたいに話している。
親しい人なのかな…?
もしかして…浮気…?
でもそれだと、私の前で電話に出るかな…?
マイナスな考えが、頭の中でぐるぐる回っている。