俺様社長にハートを撃ち抜かれました
「いらっしゃいませ。」
「すいません、あそこ行ってもいいですか?」
禅から見えない位置で座る。
ここなら、声も少し聞こえる。
「〜…なんだよ急に…」
「久しぶりに会って、その言い草はないでしょ?」
禅と相手の女性の会話が聞こえてきた。
盗み聞きをして、少し悪い気持ちもありながら、気になるから聞いてしまう。
「亜里沙(ありさ)…で、要件は?」
亜里沙…?
呼び捨てで呼んでるの…?
「あ、そうだった!
今日あんた家泊まるから!」
「はぁ?
…
何言ってもどうせ聞かないんだろ…?」
えっ?今なんて言った…?
泊まるって言ったよね…
家に来るの?
それとも、実家か、私が知らないところにもう1つ家を持っているのか…
禅も拒否しなかった…
浮気なら、家には来ないよね…
ぐるぐると考えを巡らせても分からなかった。
私はそのあとの会話が、耳に入ってこなくて、ふらふらとお店を出て、気がついたら家にいた。