俺様社長にハートを撃ち抜かれました
「ふっ…色気のない声…」
鼻で笑われた…
「ご、ご飯作る…!」
私は逃げるようにそう言って、立とうとソファーを降りた。
だけど、私の足はまだ言うことを聞いてくれなくて…
ガクッと床に崩れ落ちる。
「うわっ…」
「はぁ…」
禅は呆れたようにため息をついて、私をソファーの上に引き上げる。
そして、そのまま部屋を出ていった。
えっ…嫌われた?
まだ出会って1日目だけど、思っていたより私は禅を好きになっていたみたいで、そう思うと、不安になる。
泣いちゃダメ…
そう思うけど、我慢しきれなかった。
着物を抑えながら、声が出ないように押し殺す。
「…ふぇ…ん…」
少しして、禅が戻ってきた。
あれ…戻ってきてくれたの?
そう思って顔を上げた。
「ん…」
そう言って、私の目の前にふわふわしたものを差し出している。
これは?
毛布…?
不安になって、出ていた涙なんかとっくに引っ込んでいた。
「掛けとけ…」
着物をずっと抑えている訳にも行かなかったから、持ってきてくれたらしい。
「あ、ありがとう…」
私がそういうと、禅は照れたようにそっぽを向いて、キッチンに行ってしまった。