俺様社長にハートを撃ち抜かれました
だけど、禅は1度も私を見てくれなかった…
やっぱり、私の事を嫌いなのかな…
食べ終わって、お皿を洗いながらそう思う。
テレビを見ている禅をちらっと見ても、何を考えているのか分からない…
「はぁ…」
お風呂入ろう…
「お風呂入ってもいい?」
一応声をかけてみる。
「あぁ…」
やっぱり、こっちを見てくれない…
少し落ち込みながら、お風呂場に行くと、どうして見てくれなかったのかわかった。
脱衣場のドアを開けると、目の前に鏡があって、私は鏡を見て固まった。
「だから、見てくれなかったんだ…」
だって、私は振袖を着たままの格好だったから。
つまり、前ははだけた状態…
毛布を巻いていたけど、それは座っていた時だけ。
お皿を洗っている時、多分見えてたに違いない。
だって、今も少し動くだけで普通に見える。
「やっちゃった…」
部屋が暖かかったし、今までは家の中でシャツ1枚でいることもあった。
だけど、これからは禅がいるから、気をつけないといけなかったのに…
ぼーっと考えながら、さーっと身体を洗って、お風呂に浸かる。
にしても…
このお風呂広い…
だって、私が入っても普通にあと2人くらいは入れそうだよ。
それも、足を伸ばして。
思ったより、いきなりのことで緊張していたからか、お風呂に浸かっていると、肩の力が抜けるような気がした。