俺様社長にハートを撃ち抜かれました
「そうなんですね…役に立てて良かったです。」
そういえば、禅の兄弟の話とか、家族の話ってまだ聞いたこと無かったなぁ…
「藍羅さん…禅と結婚してくれてありがとうね…」
考えていたら、お母様にそう言われた。
「いえ…お見合いの相手が禅さんで良かったです。」
「そう言ってくれて良かったわ。
何か合ったら、いつでも相談してね!」
お母様…本当に優しいな…
話しているうちに、メイクが終わった。
「さぁ、藍羅さん、着替えるわよ?」
立ってと急かされて、立つと、バスローブを脱がされる…
そして、私は立っているだけで、いつの間にか真っ白なウェディングドレスを着ていた。
「うん。とっても綺麗よ!」
お母様に言われて、鏡の前に行く。
「わぁ…」
私が私じゃ無いみたい…
自分の姿に見とれていると、ノックの音がして、禅と、いつの間にか居なくなっていたお母さんが入ってきた。
「まぁ!藍羅…すごく似合ってる!キレイよ…」
お母さんが、涙を目に浮かべながら私に近づいて言った。
「お母さん…ありがとう…」
つられて私も泣きそうになるけど、メイクが落ちてしまうから、涙をこらえる。
「母さん達…ちょっと二人にしてくれませんか?」
禅がお母さん達にそう言ったので、部屋を出て行った。
「…」
「…」
禅と二人になるけど、禅は何も言わないから気まずい…