俺様社長にハートを撃ち抜かれました
「藍羅…似合ってる…」
先に口を開いたのは禅だった。
「あ、ありがとう…
って、お母様がメイクしてくれるなんて聞いてなかったんだけど…!」
お礼を言うけど、素直になれない私はそう言ってしまった。
「まぁ、母さんはメイクの勉強してたらしいから、そうかもって思ってたけど…」
「思ってたなら、言ってよ!」
別に突っかかる事じゃないのに、どうしても素直になれずに言ってしまう。
「あぁ、悪かったな…藍羅…」
禅は私の言ったことを聞き流すようにサラッと言ったあと、近づいてきた。
「えっ…」
頭の上に手が近づいてきて、思わず目をぎゅっとつぶってしまう。
カサっ…
頭の上が少し重くなった気がして、目を開けた。
「これって…」
目を開けると、目の前にある鏡で、頭の上でキレイに輝いているティアラが見えた。
「…プレゼント…」
少し恥ずかしそうに禅はそっぽを向きながらそう言った。
「お姫様みたい…」
ティアラなんて、した事ないし、するとは思ってなかった。
「ありがとう!」
嬉しくて、今にも抱きつきたい所だけど、そんなに早く動けないから、抱きつくのは我慢して満面の笑みで言った。
「あぁ…
そろそろ時間だ…
行くぞ…
お姫様…?」
禅に手を差し出されて、スっと重ねる。
「ふふっ…」
本当のお姫様みたい…っと嬉しくなりながら立ち上がった。