俺様社長にハートを撃ち抜かれました
…
パパパパーン
パパパパーン
パパパパン
パパパパン
…
大きい扉を開けると、どこから来たんだってくらいの人が両脇に居て、正面には神父様がいた。
本当に結婚するんだ…
「藍羅…」
不安そうな声の禅に呼ばれて、大丈夫と言うように、見上げて微笑んだ。
「先行ってる…」
禅は先に入る。
「お父さん…私達も!」
禅が神父様の前についた時に、私もお父さんにエスコートされて部屋に入る。
「娘をよろしくお願いします。」
お父さんは少し涙目になりながら、禅に言った。
「必ず幸せにします。」
お父さんは禅のその言葉を聞いて、止めていた涙が溢れ出したみたい。
「藍羅…幸せにな。」
お父さん達が強引に決めた結婚でしょって言いたかったけど、泣き顔のお父さんを見たら、言えなかった。
「うん。行ってきます。」
横にいるお父さんに、聞こえるか聞こえないかわからない声でそう言って、お父さんの手を離した。
そして、笑顔で待っている禅の隣に並んで向き合う。
スーッと音楽が消えて、神父様が話し出す。
「新郎 立花禅…
あなたは新婦 樋口藍羅が
病めるときも、健やかなるときも
愛を持って、生涯支え合うことを誓いますか?」
「はい。誓います。」
禅が真剣な目をしてそう言うから、人前だからいやいや言っているのか、本当なのかわからない。
「新婦 樋口藍羅…
あなたは新郎 立花禅が
病めるときも、健やかなる時も
愛を持って、生涯支え合うことを誓いますか?」
「はい。誓います。」
私もそう言って、禅を見上げる。
「…誓のキスを…」
私は少し俯いて、ベールが取れるのを待つ。
ふわっとベールを取ってもらうと、禅と目が合った。
「絶対幸せにしてやる。」
私にしか聞こえない声で禅はそう言って、私にやさしいキスを落としてきた。