俺様社長にハートを撃ち抜かれました
「あ、はい。ただいま!」
元気よくそう言って、テキパキと化粧道具を出していく。
「失礼します。」
そう言って、始まったメイク。
私は目をつぶって、終わるのを待っていた。
「素敵な旦那さんですね。」
目をつぶっているから、どんな顔をして、スタッフがそう言っているのか分からないけど、嫌味には聞こえなかった。
「私も、一昨日初めて会ったんです…」
私がそう言うと、反応に困ったのか黙ってしまった。
「でも、私は彼を好きになったので、結婚に後悔はありません。
彼は分かりませんけど…」
「素敵ですね…。
では、とびきり可愛くしましょう!!」
最後にぼそっと言ったのまで聞こえてしまったのか、そう言われた。
「絶対に、惚れさせますよ!」
なぜか、私より意気込んでいるスタッフさん。
もしかしたら、悪い人ではないのかもしれない。