お願いだから、好きだと言って!!


「ただいまー」



「あっ、絃!おかえりなさーい」



「……なにかあったの?」



私の家庭は、お父さんとお母さん、そして私の3人家族。



いつもは私より帰りが遅いはずのお父さんがもう帰ってきている。



声は聞こえなかったけど、玄関に綺麗に揃えられている私が履くには大きすぎる革靴はお父さんのもの。



なんだか、家の中はいつもに増して忙しない。



靴を脱いでリビングまで行ってみると、何故忙しなく感じていたのか、少しだけ明らかになった。



狭いリビングに大きなダンボールが積まれて、さらに狭くなっている。



……一体、これは?



「おー、絃帰ったか」



お母さんはキッチンで大切なお皿を新聞紙で包んでいて、隣の部屋からお父さんがひょっこり顔を出した。



「あの……一体何があったの?このダンボールは何?」



私は訳が分からなくて、カバンを肩にかけたまま立ち尽くしていた。



奥でせっせと動いているお父さんの代わりに、お母さんが答えてくれた。



「あのね、突然なんだけどお引越しすることになっちゃったのよ…」



「ひ、引越し!?」


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