お願いだから、好きだと言って!!



「そんな、付き合ってるわけないよ!」



「でも名前呼ばれてたよね?」



「そ、そうだけどっ……ほ、本当に何も無いの!」



お願いだから、信じてっ!



必死にそう訴えるけれど、佐伯家イケメン3兄弟のファンの皆さんは、簡単には信じてくれない。



完全に私のことを敵だとみなされている。



こんなにもクラスメイトを怖いと思ったのは初めてだ。



あれもこれも、葵くんのせいだよ……



教室に押しかけてくるなんて。



そう葵くんを責める自分もいるけれど、何となく憎めない葵くんを責めきれない自分もいる。



「そうならそうとはっきり言って欲しいんだけど…」



私を囲む中でもリーダー格の子が、そう私をせめ立てる。



「ちょっと!絃は違うって言ってるじゃん!そんなに疑うことないでしょ?」



「……瞳っ」



人の間を割って、私の前に立った瞳。



そしてそう言い放った瞳はとてもかっこいい。



私の救世主だ。


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