お願いだから、好きだと言って!!



「ちょっと、そんなに見られてたらやりづらいから!はい、これよろしくね」



「あ、ごめん。了解、任せて!」



材料くらい、私にだって切れるはず。



私は包丁を片手にじゃがいもと向き合う。



今から私は、じゃがいもを切ります。



よし。



じゃがいもに手を添えて、包丁を入れようとしたその時。



「待って、小鳥遊さん!」



「は、はい……?」



丁度横を通りかかった先生にストップをかけられる。



「何でしょう」



少し驚いていた先生に、私が驚く。



「小鳥遊さん、そのままじゃ一緒に指も切ってしまいます。こうやって猫の手を作るの」



先生は隣でやって見せてくれる。



……猫の手



優しく拳を握る感じ。



「そうそう!そうしておけば指を間違えて切ってしまうことは無いわ」



「へぇ、ありがとうございます」



「いいえ、頑張ってね」



ペコっとお辞儀をすると、優しく微笑んでくれた。



なんて優しい先生!



私、どこまでもついて行きます!!



そっか、猫の手か。



私がいつも指を切って絆創膏だらけになってしまう理由がわかったよ。


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