お願いだから、好きだと言って!!



「絃ったら、いつもそうやって具材切ってたの?本当、危なっかしいんだから」



「もう教えてもらったから大丈夫!」



瞳に半分呆れられながらも、優しい天使のような先生に切り方を教わった上機嫌な私は、続きに取り掛かる。



トントンと包丁の切る音が、教室中に響いて心地よい。



私はというと……



「大丈夫、絃?なんか危険」



「そう?ちゃんと切れてるよ?」



うん、よくある切れてなくて繋がっちゃったーなんてことはないし、具材の大きさも火が均一に通るように同じ大きさにって言われた通りに切れている。



「うん、切れてるんだけど、そんなに力入れなくても……」



「だって、人参かたいんだもん」



こんなかたいもの、力を入れずにどう切るの?



「ちょっと貸して?」



「はい」



瞳に変わると、私とは違ってトントンとスムーズに具材が切られていく。



なんで?



私と瞳何が違うの?


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