お願いだから、好きだと言って!!



「そういうことで、絃。これはチャンスよ!」



「ちゃ、チャンス……」



「男はね、美味しいものを食べさせてくれたら好きになっちゃうものよ!」



そ、そうでしょうか。



もし世間一般的にそうだったとしても、あの3兄弟は手強いと思われます、先輩。



「現に、私は今の彼氏の胃袋掴んでるからねっ」



うん、それは瞳の料理の腕がいいからですよね?



絶対そうですよ。



「まさか絃、もう3人を落とすこと諦めてないでしょうね?」



「え、ま、まっさかぁ……!」



あまりにも大きな迫力にNOとは言えない。



いつまで経っても瞳には勝てないなあ。



「よし、決まり!良い報告待ってるわよー」



いつの間にか駅に着いてしまった私たちはそこで分かれた。



浮かれている瞳は、これから彼氏にでも会うんだろうか。



……憂鬱だな。



電車に揺られながら、遠くを見つめる。



まぁ、やってみるしかないか。



これもひとつの花嫁修行だと思ってね。



あの3兄弟をぎゃふんと言わせられたら、今後怖いものないよね?



よし、こうなったらやってやろうじゃないの。



帰ったら雅さんと交渉ね。



作るからには、絶対不味いなんて言わせないわよ?



絶対、絶対!!


美味しいって言わせてやるんだから!


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