お願いだから、好きだと言って!!

俺に触るな《side雅》




俺たちの家に一人の女の子が居候を始めてから、もう1ヶ月近くなる。



母さんから連絡が来て、俺たちの返事も聞かず、『1週間後の土曜日から家に可愛い女の子が来るから、よろしくね!』と母さんの年齢とはかけ離れたキャピキャピした声で、そう告げられた。



俺が一番に思ったことは、ふざけんな、だ。



元々はこんな性格じゃなかったけど、自分でも人当たりは冷たいだろうということは自覚している。



まぁそれも女限定だけど。



とにかく俺は、女が嫌いだ。



母さんも理由は知らなくとも、俺が大の女嫌いだということは知っているはずだった。



それなのにもかかわらず、母さんは……



一体何を考えているんだか。



そうして居候を始めたこの女、小鳥遊絃と言うらしい。



葵が絃ちゃんに居候することになった理由を聞いていたところを聞いていたことがある。



盗み聞きと言われればそうかもしれないが、聞こえてきたものは仕方ない。



聞いた話によれば、絃ちゃんの父さんが海外に転勤になり、家事が出来ない夫に母さんがついて行き……



高校生活もある絃ちゃんは、親同士の面識があり、尚且つ子どもが同じ高校に通う家に居候しなさいと勝手に決められたらしい。



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