お願いだから、好きだと言って!!
心配になり、やっぱり俺が作ると変わろうとしたが、絶対私が作るんだと言って、断固としてそこを避けなかった。
本当に肉じゃがなんて作れるのか?
今までどのくらい料理をしたことがあるのかは知らないけど、料理教室に一回行ったからってできるようになるほど料理の世界は甘くない。
「……え」
「そこに突っ立ってないでよけて」
俺がいきなり立ち上がってキッチンに来たことに驚いたまま立ち尽くしていた絃ちゃん。
怒られると身構えていたのか、拍子抜けしているようにも見える。
「だから、邪魔なの。よけて?そしてそれ貸して」
「あ、はい」
手を洗った俺は、絃ちゃんの手の中にあったそれを受け取る。
もちろん手渡しではなくて、1度まな板の上に置いてから。
女に触れたくはない。
触れるというだけで悪寒が走る。