お願いだから、好きだと言って!!



「なんで雅さんは、女の子が嫌いなんですか?」



「っ」



予想外の問いかけに、俺の手元の動作が止まる。



鈍感なくせに、そういう所に気づいてしまう絃ちゃんは、すかさず俺に突っ込んできた。



「元からなんですか?それとも何か嫌なことが……?」



この子は、プライバシーっていうものがないんだろうか。



俺の心の中にズカズカと入り込んでくる。



一体、そんなことを聞いてどうする。



「絃ちゃんには関係ない」



早く人参の皮むきを終わらせて自室に戻ろうか。



これ以上、探られたくはない。



踏み込まないでほしい。



「関係ありますよ、雅さんは住ませてもらってる家のお兄さんだから……」



「……これ最後、っ!?」



「あっ……ごめんなさい」



ほんの小さなことだ。



皮をむき終えた人参をまな板の上に置こうとした、ただそれだけ。



そこにちょうど絃ちゃんの手が当たってしまった。



たったそれだけだ。


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