お願いだから、好きだと言って!!
「ごめんなさい……」
「謝るくらいなら、ほっといて」
「嫌です!放っておけるはずないじゃないですか!」
こんなの、始めてだった。
絃ちゃんは、俺との一定の距離は保ちながらも俺から目を離さず、真っ直ぐにぶつかってくる。
「所詮他人でしょ?それなら俺の問題に介入する理由もない」
「他人ですよ、私は。雅さんとは血も繋がってないし、ただの居候です。でも……目の前で苦しんでいる人を助けるのに理由なんているんですか?」
「……ふっ」
「なんで笑うんですか!」
さっきまで眉を下げて必死だった絃ちゃんが、口を膨らませている。
そんなころころと表情を変える絃ちゃんが面白くて思わず笑ってしまった。
この子ならいいかもしれない。
俺のどこかでそう思った。
「……ほら、手動かして。2人が帰ってくる」
「……うん」
少し沈黙の時間が流れたあと、俺は何事も無かったかのようにキッチンに立つ。
絃ちゃんは戸惑いながらも、俺の隣に立った。