お願いだから、好きだと言って!!



「ここ行こー!」



連れてこられたのは、カラオケ。



3名で3時間部屋を借りて、個室に入る。



「ねぇねぇ、そう言えば名前なんていうの?」



「雅」



「へぇー、雅くん!かっこいいー!」



はっきり言って、甘ったるい声は気持ちが悪かった。



今まで来るもの拒まず……特に近寄ってくる女の子に何も感じていなかったけど、本気で嫌だと思ったのは初めてだった。



「なんか歌わないの?雅くん」



「いいよ。2人で歌ったら?」



今は歌う気分じゃない。



心の中は苛立ちとモヤモヤでいっぱいだ。



「じゃあさ……」



俺が歌うことを断った瞬間、空気がガラリと変わった。



部屋の外からは賑やかな音楽が聞こえてくるのに、部屋の中の空気は止まっているよう。



「私たちと遊ぼう?」



それは、はじまりの合図。



不意打ちにグッと抑え込まれた体は、驚いて動かない。



中学生とはいえ、今まで部活動で鍛えてきた力は、女に勝てるくらいはあるはずだった。


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