お願いだから、好きだと言って!!



「……くっ」



じわりじわりと近づいてくる女の顔。



俺の体をベタベタ触るその手。



何もかもが気持ち悪くて、恐怖さえも感じていた。



「ね?私たちが雅くんの嫌なこと、全部忘れさせてあげる」



「……っ、迷惑なんだよ!」



状況が飲み込めて、体が動くようになった俺は、力いっぱい女たちを振り切って、逃げるように店を出た。



……それからの俺は、女を受け付けなくなっていた。



「雅くん、今日も勉強教えて欲しいんだけど」



「ここがわからなくて……」



「無理。他あたって」



「えっ、雅くん?」



急に態度が変わった俺に、周りの女の子たちも、俺の友達もただただ驚いていた。



でも……ダメだったんだ。



ただ勉強を教えて欲しいと来ていただけなのに、近づいてくる女の子たちが、あの二人組と重なって、体が拒否してくる。



間違っても触れられた時は、全身に悪寒が走り、鳥肌が立つ。



それからの俺は、女たちを避けるように勉強ばかりして、無事に志望校に合格した。



そして俺は、高校に入学してからも男友達としか絡まなくなっていた。



***






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