お願いだから、好きだと言って!!
その夜はあまり寝られなかった。
何とか荷造りは終えたものの、これからの不安が強すぎて。
寝不足のまま迎えた土曜の朝は、私の気持ちとは裏腹に綺麗な青空だった。
アパートの前にはトラックが止まっていて、荷物を一通り詰めた後、先にトラックは私の新しい家と、お母さんとお父さんが住む海外へと走り去っていった。
「絃、元気にしてるのよ」
「あぁ、可愛い絃……」
「ほら、しっかりしてお父さん」
私よりもお父さんの方がなんだか心配で、不安もちょっぴり薄れていく。
私の新しいお世話になる家は、私の家……
いや元の家の最寄り駅から2駅先。
高校と最寄り駅の間の駅だ。
お父さんの運転する車でその駅まで送ったくれたけれど、飛行機の時間があるからとそこで別れることになった。
名残惜しそうにしながらも、エンジンの音を立てて行ってしまった車。
これからしばらく別々に住むなんて、まだ実感が湧かない。
お母さんたちが日本に帰ってこられるのもいつになるかわからないと言っていた。
「うーん、いきなり不安になってきた……」
とりあえず帰る家もなくなってしまった私は、お母さんから渡されたメモの場所へ行ってみるしかない。
そして……冒頭に戻る。