お願いだから、好きだと言って!!
「料理に関しては雅兄に知らないことは無いよ。だって雅兄、料理人目指してるんだから」
「えぇっ!?」
そんなの、初耳だよ!?
よくよく聞いてみれば、雅さんが今通っている大学って言うのも調理系の学校らしい。
そりゃ、雅さんの作る料理はどれも美味しいわけだよ。
それに、レストランの厨房でアルバイトをしているのにも納得がいく。
そんなすごい人に、私の料理を……
しかも料理初心者の作ったものを美味しいと言わせようだなんて100年、いや……
100万年早いわ!
ズーンと負のオーラが漂いそうなくらいに、気分が沈む。
「美味しいよ、絃ちゃんの料理」
「へ?」
空耳かと思った。
そう思ったけれど、その言葉を言った声の主は雅さん。
「だってこれ、雅さんに手伝ってもらって……」
「でも、具材を切ったのも、基本の味付けをしたのも絃ちゃんでしょ?」
やっぱり、雅さんって本当は優しいよね。
あんなに距離を置こうとしていたけど……
本当は優しすぎるくらい優しい心の持ち主なんだ。