お願いだから、好きだと言って!!



「頑張ってもっと上手く作れるようになるね?」



褒められるってとてもいい気分だ。



苦手なことも頑張れそうな気がする。



本気で料理について勉強しようかな。



雅さんには到底……



死ぬまでかかっても追いつけないと思うけど、そのうちもう少し打ち解けられたら、教えてもらえるかもしれないし!



未来の料理人に教えてもらえるなんて、私、超ラッキーなんじゃない!?



勝手に妄想だけがどんどんと膨らんで、なんだか楽しくなってくる。



「まぁ、また作る時は食べてやってもいいけど」



「何よ、その上から目線……!嫌なら食べなくていいよ」



「はぁ?そんなこと言ってねーだろ?」



はぁ……なんで蓮くんとは何かと言い合いになってしまうんだろう。



この家に来てから何度あったことか。



「まぁまぁ、絃ちゃん。落ち着いて?蓮兄はね、肉じゃがが大好物なんだ。だから、蓮兄がこう言うってことは、美味しいってことだよ?」



「そ、そうなの……?」



葵くんにそう言われて、蓮くんの態度からは想像出来ない話に、半信半疑になる。



疑ってはいたけれど、余計なことを言うなと言わんばかりの不機嫌そうな蓮くんの顔を見たら、事実なんだと納得する。



本当に、素直じゃない奴。



普通に美味しいって言えばいいのに。


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