お願いだから、好きだと言って!!
水ですすいで、いざキャベツを刻もうと包丁を握る。
持ち方バッチリ。
猫の手も完璧!
実はキャベツの千切りをするのは初めてだ。
でもキャベツの千切りをしているところはテレビで何度も見たことがある。
トントントンとリズムよく、かつ、素早くその音が刻まれていく。
あんな事が出来たら気持ちがいいだろうな、といつも思っていた。
今日はあれを私がやるんだ。
包丁をキャベツに入れると、サクッといい音がする。
これこれ!
この音よ!
私って案外、音フェチなのかもしれない。
サクッという音と、トントンという音が部屋中に響いていく。
良いんじゃない?これ。
順調なんじゃない?
どこからか湧き出てくる自信に浸っていた時。
「ねぇ、絃ちゃん」
「はい?」
突然声をかけられて、ふと手が止まる。
「これ、どういうこと?」
私が切り終えたキャベツを1つ手に取った雅さんは、私の顔の前でそれをひらひらとして見せる。
「えっと……キャベツの、千切りです」
そうです、そのはずなんですよ。
でも……あれ、おかしいな。