お願いだから、好きだと言って!!



「「いただきます」」



みんなで手を合わせて仲良く……



という訳には行かず、何となく食卓には異様な雰囲気が漂っている。



発信源は、恐らく私だ。



いつもならニコニコと話しかけてくる葵くんも、チラチラと私の様子を伺っているようだけど、声はかけてこない。



蓮くんと雅さんに至っては、普通だ。



無言の夕飯の時間が流れる。



静かな時間は、過ぎ去るのがとても長く感じた。



葵くんが一番風呂に入り、蓮くんが自室に戻った頃、私と雅さんはいつも通り食器を洗って片付ける。



私が洗う係で、雅さんが拭いてしまう係だ。



食器は水切りカゴに一度入れるから、直接手が触れることはない。



雅さんもタイミングが被らないように気をつけているから。



そこがまだ越えられていない壁。


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