お願いだから、好きだと言って!!
「ここって、」
「私行きつけの美容室よ?こんにちは〜」
「えっ、ま、待ってよ!」
私の返事も聞かずに瞳はお店の中に入っていく。
「えっと、電話で言っていた今日のお客さんはこの子ね?」
「そうなの。とびっきり可愛くしてあげて?」
「もちろん。私の腕に任せなさい!」
出迎えてくれたのは、女……いや、男?
いわゆる男と女の間……オカマの美容師さん。
私が状況を飲み込めずにいると、瞳が耳打ちしてきた。
「この人、オカマだけど腕は確かだし、とっても面白くていい人よ?」
「そ、そうなんだぁ……」
瞳がそう言うんだから間違いないと思うんだけど……それどころじゃないんだよ!
「ほら、いらっしゃーい?」
「わぁっ、ひ、瞳〜」
「私は向こうで待ってるから。楽しみにしてるよ〜」
さすが女性でも中身は男性の方。
私の体は軽々と持ち上げられ、ヒョイっと椅子の上に座らされた。
瞳に助けを求めたけれど、手を振られるだけで助けてくれる様子は全くなかった。
瞳の、裏切り者ーっ!
ニコニコと微笑むオカマ美容師さんは、よく見ると美人だ。
女の私が負けてしまいそうな程に。