お願いだから、好きだと言って!!



ひと通り質問を終えたらしいオカマ美容師さんは、腕をまくって、仕事にとりかかる。



「ふぇっ!?」



「ごめんねぇ?変身した姿は最後に見せたいからって瞳ちゃんに頼まれてるのよ。とびっきり可愛くしてあげるからね?」



髪を切る前にされたのは目隠し。



瞳ってば、本当に何をしようとしているの!?



変身した姿とか言ってたし……



私、どうなっちゃうの?



髪を触られるのは、好きだ。



心地よくて、眠くなってしまう。



たくさん切られたのであろう髪は、どこか軽く感じる。



液を塗られ、何かで髪を巻かれ……



美容室に来てから3時間くらい過ぎた頃だろうか?



目隠しをされていた私には、時間感覚が狂っている。



「よし、終わったわよ?」



「じゃ、じゃあこの目隠し外してもいいですか?」



「えっと、待ってね。瞳ちゃーん、終わったわよー」



「はーい」



パタパタパタっと遠くから瞳が、近づいてくる足音が聞こえる。


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