お願いだから、好きだと言って!!



「きゃあーっ、絃!すっごく可愛いよ!」



「うわっ、く、苦しいからっ!」



突然ギュッと抱きしめられ、視界が閉ざされている私は、全く予測ができず椅子の上にいながらもよろけてしまう。



「ごめんね。でも、本当に可愛いの!!」



瞳が大絶賛する私。


一体私はどうなっているの?



「ねぇ瞳、もう目隠しとってもいい?」



「いいけど……まだ鏡は見ちゃダメよ?」



そう言われて、くるりと椅子を回転させられる。



「うっ……」



数時間ぶりに目隠しが外され、現れた世界はとても眩しい。



「絃が鏡を見ていいのは、メイクが終わったあと!」



次に取り出したのは、メイクケース。



美人な瞳はメイクの天才。



いつも雑誌やらネットやらを見て勉強しているらしい。



瞳って、女子力の塊だよね?



ふと"いつまで経ってもお嫁にいけないよ"という雅さんの言葉を思い出す。



私も見習わなきゃ……



本気でそう思った。


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