お願いだから、好きだと言って!!



ブラシで肌を撫でられて、くすぐったいメイクも終わり、瞳から鏡を見てもいいとOKが出た。



振り返って、何時間ぶりの自分の姿を見て驚いた。



「……誰?」



第一印象はそれ。



だってね?



鏡の中に映る自分は、朝の私とは似てもにつかない。



髪型も、メイクも……どれもが私じゃない。



アッシュブラウンのふわりと巻かれたボブ。



全体的にピンクをベースにされたメイク。



誰なんでしょう、この可愛い人は。



自分だとは到底思えない。



「どう?気に入った?」



「気に入ったも何も……最高すぎて言葉にならないよ……」



「とびっきり可愛くしてあげるって言ったでしょ?」



「本当に、ありがとうございます!」



可愛いは作れる。



そんな言葉を聞いたことがあったけど……本当だったんだね。



こんな私でも、こんなに可愛くなれるんだ。



まぁ、隣にいる美人な瞳と、女性より綺麗なオカマ美容師さんには負けるかもしれないけれど。



「これでイケメン3兄弟も惚れちゃうわよ?」



「そうですかね……?」



だといいけど……



あの3兄弟は一筋縄では行かないからな。



葵くん以外。


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