お願いだから、好きだと言って!!
「……ただいま」
「おかえりー!もう、絃ちゃんが居なくて寂しかったんだから」
絃が帰ってきた途端、飛びついていく葵の溺愛っぷりには呆れる。
気まずそうにしていた絃は、そんな葵に影響を受けて、驚きながらも笑った。
こんな脳天気な行動が、今の絃にとっては救いなのかもしれない。
「おかえり、絃ちゃん」
「ただいま、雅さん」
今まで女を嫌って、絃のことをよく思っていなかった雅はどこへ消えたんだか。
「蓮くん……」
ふたりと言葉を交わした絃は、俺のところへ来た。
あんな事があったんだから、気まずいのはお互い様。
俺の目の前にいるのは絃だ。
そう何度も自分に言い聞かせているけれど、どうしても絃の姿を見るとアイツが頭をよぎって重ね合わせてしまう。